「切った木はどうなるんですか?」——作業のあとで、お客様からよくいただく質問です。
伐採で出た木は、そのまま焼却されて終わりだと思われがちです。ですが実際には、チップにして再び使われる道があります。その行き先のひとつが、牛を飼う牧場です。
伐採した木の主な行き先
伐採・剪定で出た木材(枝葉を含む)には、おおむね次のような行き先があります。
- チップ化して敷料(しきりょう)に:細かく砕いて、牛舎・畜舎の床に敷く
- チップ化して堆肥・マルチング材に:畑や花壇に敷く、堆肥として発酵させる
- 木質バイオマス燃料に:ボイラーや発電の燃料として使う
- 廃棄物として処分:上記に回せないものは、産業廃棄物・一般廃棄物として適正に処理
太い幹と細い枝葉、樹種、混入物の有無によって、どこへ回せるかが変わります。私たちも、条件が合うものはできるだけ資源として回せるようにしています。
牛舎の「敷料」に木くずが使われている
牛を飼う畜舎では、床におが粉や木くず、わらなどを敷きます。これが敷料です。牛が横になって休むための寝床であり、ふん尿の水分を吸わせて衛生を保つ役割もあります。牛の健康や乳質にも関わる、地味ですがとても大切な資材です。
ところがこの敷料、近年は入手しづらくなっていると言われています。製材の副産物であるおが粉は、製材所の減少や需要の競合の影響を受けやすく、価格や供給が安定しません。酪農の現場ではえさ代の高騰も重なり、経営を圧迫する要因のひとつになっていると指摘されています。
そのなかで、造園・伐採の現場から出る木材チップを敷料や堆肥原料として活用する取り組みが各地で行われています。まちで切られた木が、牛の寝床になる——伐採と酪農は、意外なところでつながっています。
どんな木でも使えるわけではない
ただし、伐採木ならなんでも敷料に回せるわけではありません。現場としては次の点に注意が必要です。
樹種
針葉樹(スギ・ヒノキなど)は吸水性や扱いやすさの面で敷料に向くとされます。一方、イチイ、キョウチクトウ、アセビなど、家畜に有害とされる樹種は使えません。庭木にはこうした樹種が普通に植わっているため、選別が欠かせません。
混入物
針金、支柱、ビニールひも、防草シート、釘。庭木にはこうしたものが巻き込まれていることがよくあります。家畜が口にすれば事故につながるため、混入物のあるものは回せません。
状態
腐朽が進んだ木、カビの多いもの、薬剤処理された木材は不適です。
つまり、「資源として回す」には現場での分別と判断が要ります。適当に混ぜて出すことはできない、というのが実際のところです。
牧場・農地の樹木のご相談も承ります
横浜市内やその近郊にも、いまも牛を飼う牧場や農地があります。
- 牛舎・堆肥舎にかかる枝を落としたい
- 敷地内の高木が倒れると設備を壊しそうで不安
- 農地まわりの支障木・竹を整理したい
こうした樹木のご相談も承っています。狭い場所や設備に囲まれた場所での作業は、庭木の伐採と同じく、周囲を傷めない段取りが要になります。
「牛乳でスマイルプロジェクト」について
「牛乳でスマイルプロジェクト」は、農林水産省と一般社団法人Jミルクが立ち上げた、牛乳・乳製品の消費拡大に官民で取り組む活動フレームです。
伐採横浜は同プロジェクトの趣旨に賛同し、伐採で出た木材資源を畜産・酪農の現場に還す取り組みと、木を切る仕事から見た酪農の話をお伝えしていきます。
牛乳を飲むことは、牛を飼う人と、その牛の寝床をつくる仕事を支えることでもあります。木を切る側からも、その循環に加わっていきたいと考えています。
まとめ
- 伐採した木はチップ化して敷料・堆肥・燃料として使われる道がある
- 牛舎の敷料は入手しづらくなっており、木材チップの活用が各地で進む
- ただし有害樹種・混入物・腐朽材は回せず、現場での分別が必要
- 牧場や農地の支障木伐採もご相談いただけます